スペインを漢字で書くと？漢字一文字で「西」と書かれる理由について

漢字で「西」と表記される国がどこの国かご存知ですか？スペインは漢字で「西」と表記されますが、米、英、仏、独、伊、露などと比べると「西」の漢字表記はあまり一般的ではなく、多くの人がピンと来ないのではないでしょうか。

実は、スペインを漢字で表記すると「西班牙（スペイン）」と書きます。しかし、この表記についての由来や意味はあまり知られていません。そこで、今回はスペインとその主要都市の漢字表記についてまとめてみたいと思います。

スペインを漢字で書くと？

スペインの日本語による漢字表記は、主に「西班牙（スペイン）」を用います。スペインを漢字一文字で書くと「西」と略されます。

スペインの漢字に「西班牙」が用いられた理由

スペインの漢字「西班牙」は中国語の漢字表記に由来します。「西班牙」は、「エスパーニャ（España）」というスペイン語での国名の語源となったとされる、アラビア語の「イスパニャ」に中国語読みの漢字を当てたもの。「西班牙」の中国語読みをカタカナにすると「シーバンニャ」と読むので、「イスパニャ」に近い音だということがわかります。

ちなみにスペインとポルトガルを含むイベリア半島がヨーロッパ大陸の最西端に位置していることから「西」が用いられたとされています。16世紀に日本に渡ったキリシタン伝来の「西洋書」にも「班牙」という漢字でスペインが記されています。

スペインを漢字一文字で書くと？

スペインを漢字一文字で略す場合、「西班牙（スペイン）」から「西」の表記が用いられます。1898年4月にアメリカ合衆国とスペイン帝国の間で発生した戦争「米西戦争」や、本屋さんにあるスペイン語辞典でも「和西辞典」とスペインの漢字表記に「西」が用いられています。

スペイン主要都市の漢字表記

スペイン主要都市の漢字表記を集めてみました。

マドリード：馬徳里

マドリードはスペイン最大の都市で、スペインの首都、マドリード州の州都です。

マドリードの日本語による漢字表記は「馬徳里（マドリード）」。「馬（マ）」「徳（ド）」「里（リー）」と音訳による当て字です。

バルセロナ：巴塞羅、巴塞洛納

バルセロナは地中海を臨むスペイン第２の人口を誇る最大の港湾都市で、カタルーニャ州の州都です。

「巴（バ）」「塞（セ）」「羅、洛（ロ）」「納（ナ）」と音訳による当て字です。

「巴」は、「パ、バ」の音訳にも広く用いられた漢字で、「巴奈馬（パナマ）」「巴里（パリ）」等に用いられています。「塞」は、「セ」の音訳で「塞内加爾（セネガル）」、「羅、洛」は、「ロ」の音訳としてそれぞれ「欧羅巴（ヨーロッパ）」「羅馬（ローマ）」、「摩洛哥（モロッコ）」「斯洛伐克（スロバキア）」等に用いられています。

バレンシア：瓦稜薩

マドリードとバルセロナに次ぐスペイン第３の都市で、地中海に面する港湾都市。バレンシア州の州都、バレンシア県の県都です。

「瓦（ガ）」「稜（リョウ）」「薩（サ）」と音訳による当て字です。

コルドバ：哥爾多瓦

コルドバはスペイン南部にあるアンダルシア地方に位置するコルドバ県の県都です。かつては、後ウマイヤ朝の首都が置かれて10世紀頃には世界最大の人口を持つ都市となったコルドバは旧市街全体が世界遺産に指定されています。

コルドバの日本語による漢字表記は、「哥（カ）」「爾（ニ）」「多（タ）」「瓦（ガ）」と音訳による当て字です。「哥」は、「コ」の音訳にも広く用いられた漢字で、「哥倫比亜（コロンビア）」「墨西哥（メキシコ）」等にも用いられています。「爾」は、「ル」の音訳にも広く用いられた漢字で、「亜爾然丁（アルゼンチン）」「伯剌西爾（ブラジル）」等にも用いられています。